医師によるスキンボトックス完全ガイド
- ROHE_CLINIC_GINZA
- 5月8日
- 読了時間: 5分
「スキンボトックス」「マイクロボトックス」という施術を聞いたことはありますか?ボトックスというと、筋肉に打ってシワを浅くする、アンチエイジング治療の一種というイメージが強い方が多いのではないでしょうか。スキンボトックスは、通常のボトックスと打つ深さが異なる、肌治療の一種です。一般的に、効果が出るまでに回数や料金が必要となりやすい肌治療において、スキンボトックスは手を出しやすい選択肢の一つです。毛穴や脂性肌に悩む方にとって、即効性のあるスキンボトックスは、一度お試しされると美肌への近道かもしれません。この記事では、効果、注意点、料金相場等について、美容外科医の視点から丁寧に解説します。
効果・メカニズム
スキンボトックスは、ボツリヌストキシンを真皮浅層(superficial dermis)〜皮下直上(subdermal layer)の、神経終末や皮脂腺が分布するゾーンに点状に微量注入することで、以下のような効果を発揮します。
皮脂分泌の抑制 → テカリ・ニキビ予防
立毛筋の緊張緩和 → 毛穴の開き改善
汗腺の活動抑制 → 赤み・汗ジミ予防
表皮の緊張のバランス調整 → ハリ感・ツヤ感アップ
打つ層が1mmでもズレると表情筋への作用が強く出てしまいます。表情筋の動きに違和感を出さずに肌質改善させるためには、正確な層への注入が求められます。シンプルな手技ではありますが、技術力と丁寧さが必要とされる繊細な処置です。
部位別の単位数と目的
部位 | 目的 | 単位数(目安) |
額全体 | 毛穴・皮脂・小じわ改善 | 8〜12単位 |
頬 | 毛穴・皮脂・赤み改善 | 12〜20単位 |
鼻 | 毛穴・皮脂・黒ずみ改善 | 4〜6単位 |
口まわり | 毛穴・皮脂・小じわ改善 | 4〜6単位 |
フェイスライン | 皮脂・ニキビ改善、リフトアップ | 6〜10単位 |
禁忌事項(ボツリヌストキシン全般に共通)
スキンボトックスは比較的安全性の高い施術ですが、以下に該当する方は施術前に必ず医師と相談してください。
妊娠中・授乳中(安全性が確立されていない)
神経筋疾患のある方(重症筋無力症など)
ボツリヌストキシン製剤に対する過敏症歴がある方
過去にアナフィラキシーを起こしたことがある方
自己免疫疾患をお持ちの方(一部医師の判断による)
料金相場
スキンボトックスは部位数・使用薬剤・医師の技術によって価格が大きく変動します。
内容 | 相場 |
顔全体(頬+額+鼻) | 3〜6万円/回 |
顔+首セット | 6〜8万円/回 |
頬・鼻など1部位 | 1〜2万円/回 |
使用薬剤 | アラガン製:やや高価/韓国製:比較的安価 |
他の皮脂・毛穴治療との大まかな比較
治療法 | 具体例 | 主な効果 | メリット | デメリット・注意点 |
内服薬 | ビタミンB群、漢方、スピロノラクトン、イソトレチノイン | 皮脂分泌の抑制、ニキビの予防、炎症抑制 | 手軽、全身に効く、コストが比較的低め | 効果が出るまで時間がかかる、日々の継続が必要、副作用あり(特にイソトレチノイン)、妊娠・授乳中はNGのことが多い |
外用薬・スキンケア | ディフェリン、トレチノイン、ナイアシンアミド、ピーリング剤 | 角質のターンオーバー促進、皮脂抑制、美白効果 | 自宅で継続可能、コストが安い | 赤み・乾燥・刺激感が出ることも、日々の継続が必要、改善度合いは軽度〜中等度まで |
レーザー治療 | フラクショナルCO2、ピコフラクショナル、レーザートーニング | 毛穴の引き締め、コラーゲン生成、皮膚の入れ替え | 高い効果、肌質改善も同時に期待 | ダウンタイム強め(赤み、かさぶた)、複数回必要、痛みを伴うことも、色素沈着等のリスクあり |
光治療(IPLなど) | フォトフェイシャル、ライムライト | 色素沈着・赤みの改善、軽度の毛穴引き締め | ダウンタイム少なめ、美白や赤みにも効果 | マイルドな効果で劇的な改善は難しい |
注入系治療(肌質改善) | スキンボトックス、ダーマペン+薬剤(ヴェルベットスキンなど)、水光注射 | 毛穴の引き締め、皮脂抑制、ツヤ肌 | 即効性あり | 継続が必要(3〜6ヶ月おき) |
ラジオ波・HIFU | サーマクール、ポテンツァ、ウルトラフォーマーなど | タイトニング効果、皮脂腺の熱変性 | リフトアップと毛穴改善が同時に期待できる | 痛み・腫れ |
ピーリング(クリニック) | サリチル酸マクロゴール、ミラノリピール、TCAなど | 古い角質除去、毛穴の詰まり改善 | 比較的安価、肌全体のくすみにも有効 | 乾燥や一時的な刺激感、敏感肌には不向きな場合も |
毛穴タイプ別おすすめ治療
毛穴のタイプ | 主な原因 | 有効なアプローチ |
開き毛穴(皮脂) | 過剰皮脂・思春期・インナードライ | スキンボトックス、ビタミンC内外用、ピーリング |
黒ずみ毛穴 | 酸化皮脂・角栓 | ピーリング、洗顔見直し、毛穴吸引 |
たるみ毛穴 | 加齢・コラーゲン不足 | HIFU、RF、ポテンツァ、ダーマペン+成長因子 |
クレーター毛穴 | 炎症性ニキビ後の瘢痕 | フラクショナルレーザー、ポテンツァ、ダーマペン |
まとめ
スキンボトックスは「効かせすぎない」ことが大切な治療です。必要最小限の単位数を拡散させすぎず、目的部位に的確に注入することで、短期間で肌質を劇的に改善できうる選択肢です。肌治療の中ではダウンタイムが出にくく、リスクも小さく、比較的コストも抑えられる良い治療です。初回はやや控えめな量からスタートし、効果を見ながら調整していくのが理想的なので、同じクリニックに通うことが推奨されます。
ぜひお気軽にご相談にいらっしゃってください。
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